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第四類 交叉滑り子クランク機構 Cross Slider Crank Chain.

本類は二個の滑りツガイの軸を互いに直角にし之に二個の回りツガイを組み合せたる平面機構を集む。

80. 交差滑り子クランク Cross Slider Crank.(其一)

図. 交差滑り子クランク1

スロット 3 はクランク・ピン 2 のメタルにして溝 4 を上下に滑動す。クランク 7 の一回転はロッド 5.5 を左右一往復運動せしむ。

クランクが等速回転なるときロッド 5 は単弦運動を為す。故に本機構に単弦運動の別名あり。又スコッチヨーク Scotch Yoke とも言う。

81. 同(其二)

図. 交差滑り子クランク2

本機構は (80) と構造に相違あれど同一の運動を為す。クランク 7 の回転によりてロッド 5 は往復運動を為す。軸 1 にハズミ車を取付くるときはロッド 5 の左右往復運動はクランク 7 を回転せしむ。

82. 交差滑り子エキセン

図. 交差滑り子エキセン

(80) においてクランク 172 の代わりに其の変態なるエキセン 2 を置き換えれば本機構となる。スロット 3 はスライド 4 の内枠内を上下に滑動し軸 1 に偏心に取付けられたる円板 2 はスロット 3 内に回転しスライド 4 の左右に出でたるロッド 5, 5 は左右に滑動す。

83. 楕円コンパス(エリプティク・トラムメル) Elliptic Trammel.

図. 楕円コンパス

スロット 4 は上下の溝 6 を、又スロット 3 は左右の溝 55 を摺動す。両溝は直交す。ピン 1, 2 の中心連結線上もしくは延長上の点 7 は楕円を書く。上下、左右の溝が直交せずとも点 7 は楕円を書く。

84. スナイダー・クランク “B.F. Snyder” Crank.(別名トラムメル・クランク)Trammel Crank.

図. スナイダー・クランク

円板(ディスク)10 の面の直角溝 3, 4 内をそれぞれスロット 2, 5 が滑動す。スロットより突起するピン 1, 6 とロット 16 とはそれぞれ回りツガイを構成し其の端 7 は揺腕 9 端と回りツガイを為す。ピン 1, 6 の運動する直線の交点を円板の軸が貫通す。円板 10 が一回転するときは揺腕 9 は一振動す。この運動は 1, 6 両点の中央の点をクランク・ピンとするクランクと同一なり。西暦 1836 年スナイダーの発明にして初めて裁縫機械(ミシン)に応用せられたり。

85. ワンツェル・ニードル・バー “Wanzer” Needle-bar.

図. ワンツェル・ニードル・バー

スロット 2, 5 に立てるピン 1.6 が連桿 8 の左端を貫く。9 はスライド・ブロック。3, 4 は互いに直角なる溝にして (84) と同一なり。円板の回転はクランク・ピンが 1, 6 の中点 11 なるクランク軸の如く連桿 8 によりて 9 を往復運動せしむ。