ビーム要素を使った片持ち梁
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ビーム要素を使った片持ち梁

先に厚みのある片持ち梁を体積要素を使用してモデル化しました。 このセクションでは2次のビーム要素を使って同じ演習問題(セクション6.2.31)を行います。 ビーム要素の定義は簡単で、この要素は1直線に並んだ3つの節点から構成されます。 内部的にはこの要素は体積のある要素に拡張されます。 ビーム要素には2種類あり、C3D20要素に拡張されるB32要素とC3D20R要素に拡張されるB32R要素(低滅積分)がそれです。 このセクションの結果によるとB32R要素を使った方がいいことがわかります。特に断面力を必要とする場合はB32要素は避けたほうがいいでしょう。

最初に見る片持ち梁は長さ100mmで2x2mm2の正方形断面を持ちます。 また梁の軸はグローバルZ方向に沿っているものとします。 図39に示す通り、この梁は1要素だけでモデル化し、終端でX方向に1単位分の力をかけます。 関心があるのは積分点aと節点bでの応力、梁の固定端での断面力、自由端のX方向変位です。 積分点aの位置は$ x=-1/\sqrt{3}$$ y=1/\sqrt{3}$$ z=50(1+1/\sqrt{3})$で、bの節点位置は x=-1、y=1、z=100 [18]です。 材質はヤング率100,000 MPa、ポアソン比0.3で、等方性の線形弾性材料とします。

343図39: 梁の形状
\begin{figure}\begin{center}\epsfig{file=simplebeam1.eps,width=12cm}\end{center}\end{figure}

この例の入力デッキはテストパッケージのsimplebeam.inpとほとんど同じです(図40)。

**
**   構造:片持ち梁、1要素
**   テスト対象:B32R要素
**
*NODE,NSET=Nall
1, 0, 0, 0
2, 0, 0, 50
3, 0, 0, 100
*ELEMENT,TYPE=B32R,ELSET=EAll
1,1,2,3
*BOUNDARY
3,1,6
*MATERIAL,NAME=ALUM
*ELASTIC
1E5,.3
*BEAM SECTION,ELSET=EAll,MATERIAL=ALUM,SECTION=RECT
.2,.2
1.d0,0.d0,0.d0
*STEP
*STATIC
*CLOAD
1,1,1.
*EL PRINT,ELSET=Eall,FREQUENCY=100
S
*NODE FILE,OUTPUT=2D
U
*EL FILE,SECTION FORCES
***EL FILE, OUTPUT=3D
S
*END STEP
図40:梁の入力デッキ

積分点での応力は*EL PRINTカードで、 節点での応力は*EL FILEカード OUTPUT=3D オプション(デフォルト)で取得できます。 また断面力を所得するには同じカードの SECTION FORCES オプションを使います(このオプションは OUTPUT=3D オプションと相互排他です)。 変位は非拡張表示、つまり OUTPUT=2D とするのが最も適しています。つまりこの例を2回実行する必要があるということです。 1回は OUTPUT=3D オプションで、もう1回は SECTION FORCES オプションで実行します。

結果は表3にまとめられている通りです。単位系は{mm, N, s, K}です。 参考側の結果は単純梁理論[58]を使って求めた解析解で、非常によく一致しています。 積分点での応力は完全に一致していますし、外挿された節点での法線応力も同様です。 せん断応力には特に注意する必要があります。梁の場合、せん断応力は断面横断方向には放物線状に変化します。 一方で2次体積要素では断面横断方向の応力は線形にしか変化しません。 従って放物線状の変化は断面横断方向には一定に近似されます。 これによって低減積分点(位置$ \pm 1/\sqrt{3}$)は放射状の応力変化の平均値が積分点での値に一致する点になるのです! 節点へ外挿される値は同じ一定値なので当然間違った値ということになります。角の点での正しい値はゼロだからです。  

断面力は以下のようにして計算されます。

  1. (積分点aのような要素内部にある)積分点での応力を計算
  2. (節点bのような)角の節点での応力を外挿
  3. 隣接する角の節点の間を外挿することで中間節点での応力を計算
  4. 面内の低減積分点上で(面の形状関数を使用して積分点cのような)断面内にある全節点の応力を外挿
  5. 求めた応力を数値的に積分

3に示すように、この処理によって正方形断面を持つ梁の正しい断面力が求められます。

梁先端での変位は10%ずれています。せん断力が支配的な梁の変形はその先端で3次になりますが、C3D20R要素で計算できるのは2次的振る舞いだけであるためです。 この誤差は要素を5つ使うことで2.4%まで減少します。(表4)。要素を増やすことで積分点aが固定点に近づいていることに注意してください(位置は以前と同じですが固定点の隣接要素内にあります)。

表3:正方形断面を持つ梁の曲げの結果(1要素)
結果 参考
σzz(a) 34.151 34.151
σxz(a) -0.25 -0.25
Fxx -1. -1.
Myy 100. 100.
σzz(b) 75. 75.
σxz(b) -0.25 0.
ux 2.25 2.50

表4:正方形断面を持つ梁の曲げの結果(5要素)
結果 参考
σzz(a) 41.471 41.471
σxz(a) -0.25 -0.25
Fxx -1. -1.
Myy 100. 100.
σzz(b) 75. 75.
σxz(b) -0.25 0.
ux 2.44 2.50

同じ梁の自由端に今度は1Nmmのトルクを加えます。結果は表5に示す通りです。

表5:正方形断面を持つ梁のねじりの結果(1要素)
結果 参考
σxz(a) -0.21651 -
σyz(a) -0.21651 -
Mzz 1. 1.
σxz(b) -0.375 0
σyz(b) -0.375 0
uy 9.75・10-4 1.1525・10-3

トルクは完全に一致し、梁端点でのねじり(uyは節点bのY方向変位)は15%ずれます[58]。節点bでのせん断応力は完全に間違っています(角の節点にはせん断応力は存在しません)が、面の積分点にある節点から補間された積分値は正しいトルク担っています!要素を増やしてもこれらの表5の値は変わりません

同じ演習問題を円形断面(半径1mmで、長方形断面の場合と同じ長さ、境界条件、物性データ)で行ってみましょう。このような断面では要素の頂点節点は x, y=±0.7071,±0.7071 になり、中間節点は x, y=0,±1 と x, y=±1,0 になります。積分点は x, y=±0.5210 に位置します。1要素の場合の曲げの結果を表6に、5要素の場合の曲げの結果を表7に示します。

表6:円形断面を持つ梁の曲げの結果(1要素)
結果 参考
σzz(a) 34.00 52.26
σxz(a) -0.322 -0.318
Fxx -0.99996 -1.
Myy 58.7 100.
σzz(b) 62.8 90.03
σxz(b) -0.322 -0.318
ux 2.91 4.24

表7:円形断面を持つ梁の曲げの結果(5要素)
結果 参考
σzz(a) 59.77 63.41
σxz(a) -0.322 -0.318
Fxx -0.99996 -1.
Myy 102. 100.
σzz(b) 109. 90.03
σxz(b) -0.322 -0.318
ux 3.86 4.24

1要素だけの場合、せん断応力は解析値に非常に近くなり、それによってせん断力も比較的正しいものになっています。 これは円周を2次区分近似した断面が小さく、わずかに高いせん断応力を相殺しているということで明らかかに説明可能です。 同じ影響がトルクにも見られます。しかし法線応力は積分点で大きくずれ、それによって節点での曲げモーメントも非常に小さくなっています。 同じことはX方向の変位でも言えます。要素を5つ使うことでこれらは大きく改善されます。曲げモーメントのずれはたったの2%に、自由端での変形のずれは9%へと減ります。 ここでも再び、変形は3次オーダーであるにも関わらず2次要素は2次の変形しか計算できないということが問題になります。 さらに要素を増やすことで結果は改善されていきます。

円形断面の梁に対するトルクの結果は表8に示すと通りです(1要素:結果は5要素の場合も同じです)。

表8:円形断面を持つ梁のねじりの結果(1要素)
結果 参考
σxz(a) -0.309 -0.331
σyz(a) -0.309 -0.331
Mzz 0.999994 1.
σxz(b) -0.535 -0.450
σyz(b) -0.535 -0.450
uy 1.54・10-3 1.66・10-3

ここでも積分点でのせん断応力が6%ずれているにも関わらずトルクが完全に一致しています。 これによって頂点節点でのせん断値が19%ずれています。面の積分点での補間によってせん断応力は-0.305 MPaになっています。 これらの応力を積分すると最終的に完璧なトルク値が得られます。梁端点でのねじれ角は7%ずれています。

まとめるとC3D20R要素を使うことで非常に優れた結果を得ることできると言えるでしょう。

一般的には応力は断面力から計算することをおすすめします。 唯一の欠点はC3D20R要素はアワーグラスモードを引き起こしたり、おかしな変位を引き起こすことです。 しかし断面を横切る変位平均は通常は正しい結果になります。 もうひとつ問題があるとすれば、このアワーグラスモードによって非線形の形状計算が収束しなくなる場合があるということです。 CalculiXでは、拡張される節点の座標に対して微小な摂動(約0.1%)を加える事でこの問題を改善しています。

同様の問題はB32要素でも実行できますが、得られる結果はあまりよくありません。 断面力、特に曲げによるものは大幅にずれます。


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guido dhondt 2016-03-08